社会教育の終焉?
レスポweb201911_センター長コラム写真

これまで、秋の台風といえば、西日本を襲うことが多かったのですが、先月は、関東や東北地方に多くの被害をもたらしました。風による被害ばかりでなく、雨による増水で川が氾濫し、多くの方々が、被害にあわれています。こんなに頻繁に異常気象による被害が続くことはこれまでなかったのではないでしょうか。先日、スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリさんが国連で世界の人々に熱く訴えた「環境問題」への対応を私たちも真剣に考え、早急に行動を起こす必要がありそうです。今日のところ幸いに、久山町は、異常気象の被害にあわずに済んでいますが、油断は大敵です。いざという時に慌てずに済む対策をレスポアールでも講じたいと思います。また、環境問題について町民の皆様と共に学ぶ機会をできるだけ早く設けたいと思います。
朝夕はめっきり涼しくなり、刈り取られた田んぼには様々な「案山子」たちが姿を見せ始めています。久山の秋の風物詩「ふるさとかかし祭り」が近まってまいりました。11月6日は、「~歴史と文化を学ぶ~久山ぶらぶら歩き」で案山子の故郷である上久原地区を歩きます。
11月8日の久山塾は琵琶に似た阮咸(げんかん)という楽器で、創作曲「首羅山物語」を演奏していただきます。さらに翌9日は男女のコーラスグループによるロビーコンサート、13日は歴史講座の6回目「山伏が語る峯入り」と題して、九州歴史資料館の小川泰樹氏に講演していただきます。11月23日の勤労感謝の日には、懐かしい昭和の歌の数々を当時の映像を交えて演奏する「北海道歌旅座」による「昭和の歌コンサート」があります。久山の秋は、退屈する暇がないほど、講座やイベントが目白押しです。
 今から33年前1986年(昭和61年)松下圭一という政治学者が「社会教育の終焉」という本を著しました。「これからの社会は自立した市民が自らの手で学びを構築していくのであって、行政による学習機会の提供は必要ない」という主張でした。当時の社会教育関係者は大きな衝撃を受け、積極的な学習機会の提供をためらいがちになります。さらに、その4年後1990年(平成2年)に、市民の学びを社会教育だけでなく幅広く捉える生涯学習振興法が制定されるという流れの中で、いつしか、市民が共に学び合う社会をつくるための行政の役割があいまいになっていきます。
「市民が自立する」ことも「市民が自ら学びを構築する」こともとても大切なことです。しかし、だから「行政や学習施設が口をはさむ必要はない」というのは、論理の飛躍ではないでしょうか。レスポアールの学びの主人公は、間違いなく町民の皆様です。我々スタッフの役割は、その学びをサポートすることです。「グレタさんの訴えに耳を傾け共に学びませんか」という呼びかけは、自立を「妨げる」ものではなく自立を「促す」取り組みであると思います。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴