「生涯学習」のススメ
センター長コラム_201910

畦道の真っ赤な曼殊沙華が縁を彩る田んぼでは、黄金色に輝く稲穂が爽やかな風に気持ちよさそうに揺れ、高く澄み渡った空には、薄い雲がたなびいています。久山の秋恒例の「祭りひさやま」は10月5日(土)6日(日)の両日久山中学校を会場に開催されます。また、同じく久山の秋の風物詩となった「上久原ふるさとかかし祭り」も地域の皆様が、11月の開催に向けて準備を進めています。町民図書館では、秋の読書週間に呼応して、10月25日(金)から図書館祭りを開催します。26日(土)の午前中はお気に入りの本を持ち寄って紹介するいつもの読書会を拡大して、珈琲を飲みながら秋のおすすめベストワンを決める「読書会スペシャル」を、また、午後には、大人と子どものための「朗読と篠笛でつづる日本のお話」を開催します。折り紙づくりや拓本からの「栞づくり」、自由に本を持ち帰れるブックリサイクルなど本に親しむ様々な楽しい企画を用意しています。
よく実った田圃の稲穂を見ながら「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という子どもの頃、明治生まれの祖母に教えられた言葉を改めて思い起こしました。今日ほど豊かで便利ではなかったけど、少し前の日本の国は、豊かさや便利さを求めつつも、「力を持つものほど謙虚であれ」「弱い者いじめは恥ずかしいことだ」等々「清く正しく生きよう」という社会的規範意識が庶民の暮らしの中にも沁み込んでいたように思います。
明治の初期に福沢諭吉が著した「学問のすすめ」という有名な書物があります。長かった鎖国政策が終わり、近代国家として西洋諸国と交流を始めた「日本」という国が、西洋諸国と対等な「交流」、「競争」ができる国家になるためには、まず国民一人ひとりが、主体的に自立し国を支えなければはならないと考えます。封建社会の身分制度の中で、それぞれの分に応じて決められた役割を果たすという生き方を根底から改めなければなりませんでした。そこで、国民は誰もが平等であることを示しつつ「学問」を身に付ける必要性を説いたのです。
グローバル化が進み国と国の距離が縮まり、それぞれの国民同士が直接触れ合う機会が極端に増えた今日は、「第2の開国」とも言われます。昨年一年間に日本を訪れた外国人は3,119万人(政府観光局)、また、昨年末時点の在留外国人は273万人(法務省)に及んでいます。そしてこれらの外国の人々が、担い手の少なくなった日本の産業を支えているのです。今日の開国のキーワードは「競争」ではなく「共存」です。
これらの外国の人々に、日本の生活・文化を正しく知ってもらうためには、まず我々日本人が日本の生活・文化を知り、誇りをもって教えられるようになる必要があります。また、諸外国の文化を理解し、交流の方法やマナーを学ぶことも大切です。レスポアール久山におきましても、そのために何ができるかを、皆様と共に考えながら「生涯学習」をススメてまいります。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴