分け合う
センター長コラム_写真

台風が接近し、北部九州の一部の地方では梅雨前線が刺激され大雨が降るという厳しい気象状況の中でしたが、レスポアール久山の20周年記念イベントは、時折雨に見舞われる程度で、混乱もなく無事開催できました。予想を大幅に上回る延べ4千人もの方々に、ご来場いただき、オープニングセレモニーに続き、ステージ発表やワークショップ、マルシェでの食事や買い物を楽しんでいただきました。町民の皆様はじめ多くの方々が、レスポアール久山を愛し、支えてくださっていることに気付かされ、改めて感謝の心と責任の重さを感じた一日でした。
水を落とした梅雨明けの田圃では、分げつで茎の増えた稲が緑の絨毯となって、燦燦と降り注ぐ太陽のエネルギーを、身体いっぱいに受け止めています。久山町では、毎年この時期になるとレスポアール久山のロビーで町主催の「原爆パネル展」が開催され、久山中学校は「平和学習」を実施します。今年の「平和学習」はレスポ塾と連携して、戦時下の日常を明るくたくましく生きる女性を描いた感動アニメ映画「この世界の片隅に」を観賞します。終戦から74年が経ち、昭和から平成、令和と時代は移り、戦争を直接体験していない世代が大半を占めるようになりました。平和を語り継ぐことの意義がますます重要になってきています。
第2次世界大戦(1939~1945)による死亡者は、世界で8,000万人とも言われています。日本だけでも300万人を超える方々がこの戦争により亡くなられました。この中には子どもや女性、お年寄りなど銃を持たない一般の市民も数多く含まれています。私たちの社会では、自らの意思とは別に、予期せぬ災害や事件、事故などに巻き込まれ、不幸にして命を落とすことも少なくありません。その時多くの人々は、その出来事を我がことのように哀しみ、胸を痛めます。戦争では、毎日毎日それとは桁違いの人の命が失われるのです。当時の人々の思いはいかばかりだったでしょう。察するに余りあります。災害や事件、事故の中には、防ぎようのないものもあります。しかし、戦争による死は防ごうと思えば防げます。私たちが戦争をしなければよいのです。ただ、戦争で物事を解決したいという人々も少なからずいます。戦争によらない解決を目指す人々の意思とたゆまない努力が求められています。
「相田みつを」という書家で詩人がいます。独特の書体で、心に響く言葉を紡いでいます。彼の言葉に私の好きなこんな言葉があります。
「うばい合えば足らぬ 分け合えばあまる」
「うばい合えば戦争 分け合えば平和」
最近、世界の国々で、自国ファーストのリーダーがもてはやされています。しかし、自国だけ良ければそれでいいという考えや施策は、いつか行き詰ることは火を見るよりも明らかです。「平和」のために、自分ファーストでなく「分け合う」努力をしていきたいと思います。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴