歳月人を待たず
%e5%86%99%e7%9c%9f

朝夕はめっきり冷え込んできましたが、日中はまだまだ暖かい日が続いています。それでも11月は暦の上ではもう冬の始まりになります。今年は11月7日が立冬です。立冬の日から、小雪、大雪そして一年中でいちばん太陽の位置が低く、昼が短く夜が長い冬至、さらに小寒、大寒を経て、昼と夜の時間が同じになる来年2月4日の立春の前日までが冬ということになります。冬至、夏至、春分、秋分など、太陽の位置をもとに一年を24等分し、季節を表す名称を付したものを二十四節気といいます。昔中国で太陰暦による季節のずれをただすために編み出されたものだそうです。南北に長い日本では地域によって随分気候が違いますし、太陽の位置から予想される気温と太陽の影響を受けて変化する実際の地表の気温には時間差があるなど、それらの季節名と体感上の季節にはずれが残りますが、季節というものがあり、それぞれの季節に名前がついていることは、生活にリズムや詩情を与えてくれます。

近年では、ハロウィンやクリスマス、バレンタインデーなど外国発祥の行事が人々に季節感を与えているようですが、ここ久山では、11月といえば「ふるさとかかし祭り」の季節です。レスポアール久山に隣接する上久原地区の田んぼや畑などいたるところに、本物の人間や動物に間違われそうな様々な案山子が展示されます。地区の有志の皆さんが、子供たちにふるさとの思い出を作ってもらおうと始められたそうです。年々案山子の数も増え、そのユニークさが話題を呼び、今では町の内外からたくさんの方々が見物に訪れます。ただ、毎年、案山子をつくり展示する作業はかなりの労力を必要とするようです。行事を守り育てていこうとされている有志の皆さんの情熱と努力には頭が下がる思いです。
立冬の翌日11月8日火曜日は、アメリカ合衆国の大統領選挙の日です。共和党のトランプ候補と民主党のクリントン候補の鍔迫り合いが続いています。それぞれの候補への見方は様々なものがあるようですが、これだけの長期間にわたって選挙戦を戦い続ける両候補の「意志力」には敬服するばかりです。我々日本人にとっては、アメリカ国民の選択を見守るしかありませんが、アメリカの大統領に誰がなるかは、日本の政治・外交にも大きな影響を及ぼします。12月の久山塾では「新しいアメリカと世界・日本」と題して元西日本新聞記者の本村寿一郎氏に大統領選挙の分析と日本とアメリカのこれからをお話しいただきます。
自らを振り返る時、近頃、業務や雑事に流されながら日々を過ごしているようで一年の経つのがとても早く感じます。陶淵明の詩に「歳月人を待たず」という一節があります。「歳月は誰に対しても平等に流れます。その歳月をどのように使うかは私たち一人ひとりに任されている。」という意味でしょう。せっかくいただいた私の「人生」です。これからは、時々の季節を味わいつつ、一日一日を楽しく、精一杯生きていきたいと思います。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴