平和
対馬丸鑑賞

元気に喧しく鳴いていた蝉たちの声も聞こえなくなり、空も青く澄み渡り、すじ雲が高い空に浮かんでいます。日中はまだ暑さが残るものの、朝夕はめっきり過ごしやすくなってきました。リオ・オリンピックでの日本選手の活躍に胸躍らせているうちに、いつの間にか夏の終わりが来てしまった感がします。
8月のレスポアール久山塾は、久山中学校の生徒と一緒にドキュメンタリーアニメーション映画「対馬丸~さようなら沖縄~」を観て「平和」について学びました。1912年処女航海の折、北大西洋上で氷山に接触し、1,500人余という多くの犠牲者を出し、当時世界最悪の海難事故といわれた豪華客船「タイタニック号」については、レオナルド・ディカプリオが主演した映画「タイタニック」が日本でも上映され好評を博したこともあり、多くの人に知られています。しかしながら、太平洋戦争中の1944年(昭和19年)8月、政府の命令により、沖縄から九州に向かった学童疎開船「対馬丸」が、鹿児島県トカラ列島沖で、アメリカ海軍の潜水艦の魚雷攻撃を受け沈没し、学童800人を含む1,661人の乗員のうちほとんどの命が波にのまれ、生存者は157人、そのうち子どもたちはわずか59人だったという対馬丸の悲劇については、あまり知られていません。国策の名のもとに、国や軍の都合だけで何も知らない多くの幼い学童たちの命が奪われ、幸いにも助かった学童たちも軍の命令により事件のことは誰に対しても、一切話すことを禁じられるという、さらなる苦しみを味わされたのです。

戦争は始まってしまうと年寄りや子どもも誰もが否応なしに命の危険にさらされることになります。講師の元RKBアナウンサーの古山和子さんは生徒の皆さんに「若い人たちには頑張って平和を守ってほしい」と訴えていました。ともに学んだ久山塾の塾生の皆さんの思いも同じだったようです。私たちは、これからも様々な機会に平和について考えることが必要だと思います。来年度も中学校の平和学習とレスポアール久山塾の合同学習というこの取り組みを続けられたらいいなと思っています。

町民図書館では、9月23日(金)「読み聞かせ」講習会を実施いたします。読み聞かせは子どもの知性や情動の発達にとても効果があることは、皆さんご存知だと思います。「クシュラの軌跡」(ドロシ-・バトラー著)には、生後間もなく様々な障害がおこり、一人では見ることも物を持つこともできなかったクシュラという女の子が読み聞かせによって健常児をしのぐ能力を身に着けたことが記されています。今回の講習ではボランティアの皆さんと一緒に、読み聞かせの意義やより良い読み聞かせの方法を具体的に学びます。一人で続けることは難しくても仲間となら続けられることもあります。是非ご参加ください。読み聞かせを通して、「平和」を愛する心優しい子どもたちがたくさん育ってほしいと思います。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴