2割の余裕
図書館

平成27年度最後の月になりました。平成27年度を総括し、平成28年度のスタートに向けて準備を整える月です。ここまで書いたところで「どうして私たちの国の年度の始まりは4月なのだろう」という素朴な疑問が湧いてきました。恥ずかしながらこの年になるまでその理由を知りませんでした。
ウイキペデイアによると、日本の会計年度は7世紀の律令国家の頃から旧暦の1月から12月としていましたが、明治になり、新米の収穫に合わせ旧暦の10月から9月にするなど変遷します。その後、財政赤字に陥った明治政府は、翌年度分の酒造税を先取りしたため、酒造税の納期に合わせて会計年度を変更するしか方法がなくなり、明治19年に4月~3月制とし現在に至っているのだそうです。

ちなみに、ヨーロッパや韓国、中国の会計年度は1月開始、アメリカは10月開始です。また、学校年度は、日本は4月開始ですが、アメリカやヨーロッパ、中国は9月、韓国は3月開始です。さらに、農作物や加工品には、それぞれに開始月の異なる年度があるそうです。
平成27年度を振り返る時、このコラム欄はレスポアール久山のセンター長としての記述ばかりで、久山町民図書館長としての記述はありませんでした。さらに、図書館長になりながら、以前より読書量が格段に少なくなってしまいましたが、そんな中で読んだ「嫌われる勇気」ダイヤモンド社(岸見一郎・古賀史健著)は、お薦めの一冊です。「人としていかに生くべきか」つまり「哲学」を青年と哲人の対話という形式で、読者である私たち「青年」の疑問に対し「哲人」がアドラー心理学を通して、繰り返し分かりやすく解説してくれます。その中に、私の弱りかけた「希望」に光をもたらした言葉があります。「過去に何があったとしてもこれからの人生には何の関係もない。」これだけを取り上げると、にわかには受け入れがたいと感じられると思いますが、この本を読まれたらきっと納得されると思います。是非ご一読ください。
幼い頃読んだ本でいまだに記憶にあるのは、少年少女向けに書かれた「ファーブル昆虫記」です。中でも社会生活を営む「ハチ」や「アリ」の生態にとても驚いたことを覚えています。先日、アリについてのある研究成果が発表されました。アリの社会には、必ず2割ほど「怠け者」のアリがいて、その「怠け者」をその集団から除いても、また2割ほどのアリが「怠け者」になることが分かっていましたが、アリの社会はなぜそのような仕組みを作っているのかを突き止めたというのです。全部のアリが精一杯働く集団は、疲弊して集団そのものの維持が難しくなり、2割ほどに余裕を与えている集団はいつまでも集団の維持ができたそうです。
私たち人間社会の組織もスタッフみんなが精一杯働き余裕がなくなると、組織そのものが疲弊してしまいます。平成28年度に向けて、2割の余裕をもって頑張りたいと思います。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴