『学ぶ』ことは、『生命を守る』こと
12月写真

本年も最後の月「師走」を残すのみとなりました。「師走」の語源は諸説あるようです。
団塊世代の私は子どもの頃、「いつもはゆっくりしている先生も忙しく走り回る月」と習い、そう思ってきましたが、「師」を「先生」と捉えるのはいかにも現代的で、語源としては新しすぎる説かもしれません。ただ、子ども時代の「先生」方よりも、はるかに年を取った今でも「師走」という言葉を聞くと「先生だって忙しいんだ。自分も忙しくしなくちゃ。」という強迫観念にとらわれます。また、1月から12月までの一年という年の括りにもそれほど重要な意味を持てなくなった今日でも、やはり12月になるとこれまでの一年間を振り返り、総括しなければ、なんとなく落ち着かない気持ちになります。
レスポアール久山にとって今年の大きな出来事は、何といっても指定管理者が三笠特殊工業(株)に交代したことでしょう。その結果、私自身も4月からレスポアール久山のセンター長という役をお引き受けすることになり、あっという間に8ヶ月が過ぎました。長く社会教育や生涯学習に携わってきた経験があり、センター長という職もそれほど苦労せずにやっていけるだろうと高を括っていましたが、社会教育や生涯学習の理念は知っていても、日々のセンター運営に関しては、事務、環境美化、図書館の各スタッフの働きがなければ何にもできない自分に気付かされました。ただ、どんな時も、明るく率先して働くスタッフのおかげで今日まで何とか無事に勤めることができたことに、心から感謝しています。これからは、私の経験や知識をできる限り、スタッフと共有し実践に結び付けることを通して、より一層、町民の皆様に信頼され、愛される運営を目指したいと思います。
私生活で今年を振り返れば、7月、大正8年に生まれ、戦前、戦中、戦後と激動の中を生き抜いた母が、96歳の誕生日を前に天寿を全うし、10月に、娘が初めての子どもを産みました。陣痛促進剤による激痛と大量出血の末の出産でした。「諸人よ 思い知れかし 己が身の 誕生の日は 母苦難の日」詠み人知らずの古い歌だそうです。歌は知っていましたが、娘の出産で初めて実感することができました。そうして生まれた赤子は、ホスピスで、少しずつ命の炎を弱めていった母と好対照に、家中のエネルギーを吸収するかのように、日々たくましく成長を続けています。無防備で、周りの助けがなければ生きていけない赤子ですが、それゆえにこそ「『この生命』を守らなければならない」という強い「メッセージ」を感じさせます。
「私と息子は二人になった。でも、世界中の軍隊よりも強い。」妻の命を奪ったテロリストに対し「君たちに憎しみという贈り物は与えない。」という手紙を出したフランス人男性のこの言葉にも相通じるものを感じます。
「『学ぶ』ことは、『生命を守る』こと」この言葉を胸にレスポアールの運営に努めます。

久山町文化交流センター
センター長兼図書館長 太田隆晴